琉球 美の宝庫 |
The Ryukyu Kingdom: |
多くの島々からなる沖縄は、かつては琉球と称され、独自の美を生み出された海上王国でした。 15 世紀に統一王朝が成立し、400 年以上にわたって東アジアを舞台に “万国津梁 (世界の架け橋)” として繁栄した琉球王国は、諸国の至宝で満ちていたといわれます。 |
本展覧会では、鮮やかな紅型に代表される染織や、中国・日本から刺激を受けて描かれた琉球絵画、螺鈿・沈金・箔絵などの技法を使ったきらびやかな漆芸作品を中心に琉球王国の美をご紹介します。 なかでも、近年の東京でまとまって公開されることがなかった琉球絵画は見どころのひとつです。 首里王府の染織や漆器のデザインには絵師が関わっていたとされており、染織・絵画・漆芸を特集することで琉球の美術を総合的にとらえ、その実像に迫ります。 第二次世界大戦の戦禍をくぐりぬけ現在に守り伝えられた優品が集う貴重な機会であり、とくに首里王府を治めた 尚家 に継承された 「国宝 琉球国王尚家関係資料」 は必見です。 |
「生活の中の美」 をテーマとしてきたサントリー美術館では、紅型や琉球漆器といった琉球の美術がコレクションのひとつの核をなしてきました。 東アジアの美を結び、新たに独自の美としてひらいた琉球の美術は、文化の多様性や新鮮な魅力に満ちており、本展が時代を超えて受け継がれてきた琉球王国の輝きをご覧いただく機会となれば幸いです。
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'2018 7_17 「琉球 美の宝庫」 のプレス内覧会の会場内風景です。 |
cat.96 国宝 琉球国王尚家関係資料 《玉冠(付簪)》 一具 |
「琉球 美の宝庫」 |
美しいものが生まれる島 琉球 美の宝庫
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「展示構成」 |
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「展示構成」 |
'2018 7_17 プレス内覧会の作品展示風景です。 「琉球 美の宝庫」図録、NEWS RELEASE No..sma0033などからの抜粋文章を掲載しています。 |
第1章 琉球の染織 琉球の染物といえば王族や貴族階層を中心に着用されたとされる紅型衣裳が知られています。 型紙を用いて模様を染め出す型染めが紅型の代表的な技法で、鳳凰・龍・牡丹など大陸由来のモチーフや松・桜・梅といった日本的な意匠が鮮やかな色彩で表現されました。 また、中国や東南アジアから伝わった織物も見逃せません。 数多くの種類があり、部分的に染め分けた糸を織って幾何学的な文様を表した絣や、糸を浮かせて文様を表現する花織など、多彩な織物が細やかに生み出されました。 これら琉球の染織のうち、王族ら高貴な人々の衣裳は、首里王府にあった貝摺奉行という機関にいた絵師が下絵を担当していたといわれています。 本章では、琉球王国の染織を特集し、その美しい色彩世界とデザインを展観します。 |
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左・cat. 4 《白地流水蛇籠に桜葵菖蒲小鳥模様衣裳》 木綿 一領 第二尚氏時代 19 世紀 沖縄県立博物館・美術館 |
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・cat. 4 琉球では成人前の子どもが着用していた。 江戸立てに同行する楽童子 (元服前の士族の子弟) 達が、このようなスタイルの衣装を身につけている様子が絵画からもうかがえる。 ・cat. 1 黄色地に垣根と立木の牡丹、鳳凰が表されている。 黄色は王家を象徴する色で、着用できるのは王族に限られていたと考えられる。 鳳凰は吉祥性を表すモチーフとして、牡丹と組み合わせて表現される場合が多い。 また垣根は、大和において邪悪なものを寄せ付けない魔除けの意味があり、染織品に限らず工芸品の模様として頻繁に用いられた。 ・cat. 14 御絵図とは、王族や上流士族が着用する衣装に用いる御用布を、宮古島・八重山諸島などに対して発注する際に用いられたデザインの見本である。 苧麻を素材とし、白地に紺絣で伝統的な御絵図柄の模様が表されている。 ・cat. 18 琉球で、布を納税することは 17 世紀に始まったことではないが、1609 年の薩摩の侵攻後、琉球の島々で織られた布は薩摩にも納められるようになる。 ・cat. 7 水色地に松竹梅の木と、流動感あふれる構図で鶴が飛翔する姿が表されている。 |
第3章 琉球国王尚家の美 1470 年に初代尚円が国王に即位してから、琉球王国は尚家 (第二尚氏) によって治められてきました。 中国と冊封関係をむすび海上貿易の中継地として大いに栄えた琉球王国は、1609 年に薩摩藩の侵攻を受けて日本の幕藩制に組み込まれるも、中国と進貢貿易を続け、王国体制を維持していきます。 国家の中心であった王都首里はアジア諸国の美が結びついた琉球独自の文化で彩られ、首里城は中国をはじめ各地の宝物で満ちていました。 1868 年に明治政府が成立すると、いわゆる琉球処分によって、19 代尚泰の王位が廃され、沖縄県が設置、首里城は明治政府へ明け渡されることとなります。 尚家は東京移住を命じられ、首里城内にあった王家の文物の一部は東京へ移されました。 その後、1945 年の沖縄戦により首里城や沖縄の文化は大きな被害を受けますが、現在にも王国に至宝の数々が受け継がれており、2006 年に尚家に継承されていた美術工芸 85 点と文書・記録類 1166 点が 「琉球王国尚家関係資料」 として国宝に指定されています。 本章では 「琉球王国尚家関係資料」 に含まれる珠玉のコレクションを特別公開します。 あわせて王家や首里城にまつわる貴重な関係資料もご紹介します。 |
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・cat. 109 国宝 《朱漆巴紋牡丹沈金馬上杯》 一具 第二尚氏時代 18 世紀 那覇市歴史博物館 |
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・cat. 109 尚家伝来の酒器。 馬にまたがったまま片手で飲むことができ形状から、馬上杯と呼ばれる。 ・cat. 111 色紙を重ねた形の香箱。 ・cat. 108 美御前御揃は、御内原の祝宴で用いられた三御飾の御道具である。 御内原は女性を中心とした世界で、国王の生活の場でもあった。 |
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サントリー美術館公式サイト:http://suntory.jp/SMA/ 主催:サントリー美術館、読売新聞社 協賛:三井不動産、MS & AD 三井住友海上、サントリーホールディングス 協力:日本航空 後援:沖縄県、沖縄県教育委員会、那覇市歴史博物館 サントリーホールディングス株式会社は公益社団法人サントリー芸術財団のすべての活動を応援しています。 |
参考資料:「琉球 美の宝庫」 図録、NEWS RELEASE No.sma 0033、Newsletter vol. 272、プレス説明会、他 |
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